「嵯峨野の月」
八木岡 春山(やぎおかしゅんざん)
明治12年、東京深川生まれ。狩野派を学び日本美術協会の審査長となる。昭和14年ニューヨーク万博で受賞。昭和16年61歳で逝去
本作は大正9年(1920年)の本人の箱書きがある。
平家物語巻の六 の 能の小督(こごう)を取り上げている。
小督(こごう)は平安末期のたぐい稀な美貌の女性で、筆の名手であったと伝えられる。
平安末期の高倉天皇は、最愛の娘を悲嘆にくれていた。
中宮清盛の娘=建礼門院徳子は中納言藤原成範(なるのり)の娘の小督を紹介する。しかし、天皇の寵愛を一身に受け中宮の父=清盛の怒りにふれ、宮中を追い出されてしまった。高倉天皇は腹心の部下で、笛の名手の源仲國を使いに出した場面。